オーストラリアで気づいた、買い物との付き合い方

3/6/2026
Last update: 3/9/2026

去年買ったあのワンピース、今もまだ着てますか?

東京からオーストラリアに移り住んでみると、多くのことが今までとは変わってきます。

まず、言語、文化、天気が違う。家は信じられないくらい高額で、でもマンゴーの価格はフレンドリー。今日来るはずだったエアコン業者は、あれ、まだ来ない・・・?

旅行とは違い、実際住んでみることでわかること、そして自分の中で変わっていくことがあります。

多くの違いに揉まれて生活する中で、大きく変わったことの一つが「買い物との距離感」です。

セントラルマーケットにある青果店

オーストラリアのお買い物事情

以前住んでいた東京から、南オーストラリア州のアデレードへ。
東京はとても刺激的な街です。家から出れば新しいお店ができていて、それになんだかみんなおしゃれ。欲しいものはすぐに見つかり、ワンクリックで次の日家に届きます。

一方、アデレードはお店の数が圧倒的に少ないです。そしてオンラインショッピングに関しても、日本ほど便利ではありません。例えば、Amazonに関しては2017年に導入と日本に比べてだいぶ遅いスタートでした。始まった当初は商品数が少なかったこともあり、実際に生活に浸透したのは2020年ごろ。
宅配のシステムに関しても、購入したその日のうちに届くなんてことはまずありません。そもそもオーストラリアの国土が日本の20倍もある広さなので、配達にも時間がかかります。届いたところで玄関に置かれているとそのまま誰かに持っていかれることも!日本のような再配達の細かい時間設定などもないので、一度オンラインで何か買ったら届くまでヒヤヒヤものです。

日本のお買い物は多彩で効率的。オンラインショップに関しては圧倒的に洗練された宅配サービスの後押しもあり、タイムパフォーマンスも抜群です。
オーストラリアではお店に行くまでにも距離があり、オンラインショッピングに関してはいつ届くかわからないという新しいタイプの刺激が加わってきます。

この世の中、もの、多すぎない?

オーストラリアにある量販店 - 何でも売っている

世界はもので溢れている

このちょっとだけ不便なオーストラリアのお買い物事情で、欲しいと思うところから実際ものを手に入れるまでの流れが以前よりゆっくりになりました。今までの「欲しい欲しい!」という食いつくような熱から一旦覚めたような感覚です。そして気づいたことがあります。

この世の中、もの、多すぎない?

例えば、洋服に関しては年間80億〜150億着以上作られ、廃棄分は世界で毎年9,000万トンにもなり、これは東京ドームの150個分の量になります。さらに服の寿命は以前より短くなっており、安く買ってちょっと着てポイ!という流れが生まれてしまいました。

食料に関しては、世界で生産された約1/3が捨てられるというデータもあります。私たちは資本主義という波に乗って、いつの間にか私たちの身の回りにある資源やものは無限で、永遠に消費できるという妄想すら抱いているように思えます。

Smart Shopping

膨大なデータを見てしまうと気絶してしまいそうにもなりますが、私たち個人が考え方を変えてみるとできることが見えてきます。私が今実際にやってみていることをお話ししようと思います。

来年も使っているか、考えてみる

今欲しいもの、例えばそれを来年も使っているか、飽きないデザインなのか、壊れてしまった時に修理できるのか、何かパーツを足すことでまた使用できるのか。そして使い終わった後はリサイクルできるのか。買ってから、さよならをするまでの流れをざっと頭の中でイメージします。例えば私たちが取り扱っているKeepCupは、それぞれのパーツがリサイクルしやすい素材でできていて、パーツが壊れてしまったとしてもそれを買い足すだけでまた使うことができます。

1% for the Planet、B Corpとは?

買うお店がどんな風に運営されているかをチェックします。例えば、1% for the PlanetやB Corpに加盟しているのか、これもひとつの指標になります。1% for the Planetは、パタゴニアの創業者によって作られた自然環境保護の必要性を大切にしている企業の同盟で、参加している企業は売上の1%を環境団体へ寄付しています。一方、B Corpは利益だけでなく、社会・環境への責任も果たしているかを評価する国際認証です。ものづくりにおいて環境の負荷だけではなく、経営の透明性や従業員の待遇、商品の社会的価値などが評価基準です。3年ごとに再更新が必要で、その評価基準は年々厳しくなっていると言われています。
私たちLess Plasticとは1% for the Planetに、KeepCupはB Corpに参加しています。

Think Twice!

そして、最後にもう一度、シンプルにそれが本当に必要なのか考えてみる。インターネットショッピングの場合、カートに入れてからしばらく放置してみます。2週間ほど経ってもまだ必要だな、となった場合に購入します。意外と2週間経ってみると、あれはちょっと私がホクホクしていたんだな、と冷静になることがあります。今あるもので十分だな、となることも意外と多いです。

Op Shop ロマンス

Smart Shopping の中でもうひとつ、オーストラリアにあるOp Shopのお話をしなければなりません。Op Shop = Opportunity Shopの略で、寄付された中古品を販売しているお店です。日本で言うところのリサイクルショップに近いですが、その収益が動物保護団体などに寄付されます。本、家具、子供用品、洋服…幅広いアイテムがお得に手に入ります。オーストラリアにはこのOp Shopが至る所にあるのです。オーストラリアに住む人の中には、一度使ったものを再利用する、再利用する道を探すということが自然と根付いているように感じます。

Op Shopの品揃えはもちろんランダムで、全て一点もの、時にはびっくりするような掘り出し物に出会う時もあります。しかし、在庫をネットで確認することなどできないOp Shopは、ある意味ではとてもタイムパフォーマンスの悪いお店です。自分が欲しいものを探しに行っても、買える保証はないのです。

ただ、会ったことのないものに出会えるかもしれないドキドキ、ガラクタの中で原石を見つけることができたトキメキ、一度終わった命がもう一度誰かの手に渡ることで生き返るという、Op Shopはただの買い物を買い物という行為だけでは終わらせない、とてもロマンチックな場所なのです。


行き着く場所が見えるデザイン

ものを作る始まりがあれば、終わりもあるものです。どんなに大事に使ったとしても、いつかは別れが来る。だからこそ、Smart Shopping でもお話しした「終わり」を考えなければいけない。ついに別れをいう時、それはどこへ行くのか。実際のところ、多くのものが最終的にはゴミの処理場へと行き着きます。しかし、もしリサイクル可能な素材でできていたら、新しい形で、違う商品としてまた復活することができます。

例えば、KeepCupのコルクバンドは、ポルトガルのワインコルク製造工程で発生した端材を100%回収して作られています。寿命が見えてきたら、砕いて濡らし、庭や鉢植えに加えることができます。グラスカップについては、強化ソーダライムガラスできており、ラミネート加工されていないためリサイクルしやすいです。

KeepCupは世界で初めてバリスタが開発したエコカップです。エスプレッソのマシーンにきっちりとはまること、バリスタの標準サイズであること、そして何よりカフェを実際経営しているからこそ見えた使い捨てカップのゴミの多さを解決するためのデザイン。組み立て式でそれぞれの素材がリサイクルしやすいことや、パーツを買い足すことで壊れても使い続けられる、そんな使うだけの商品だけではない、使うことで「行動を変えていける」商品なのです。デザイン性も高いことから、Less Plasticの創業者であるソニーの「デザインが良く、長く使っていけるアイテムを紹介したい」という理念を体現するブランドです。

自然がくれた新しいスタイル

オーストラリアにいると、何よりも自然の力が偉大だと感じます。朝のユーカリの香る道、ふかふかの芝生、子供の習い事の帰り車から見る圧巻の夕日。自然に身を置くと、今までそこにあった衝動的な欲がそっと消えてしまったり、今まで当たり前だったことを違う角度から考えることが多くなりました。

オーストラリアの自然は「私たちもその一部」であって、謙虚でいることの大切さを教えてくれます。買い物という、私たちが避けられない行動も、新しい視点を加えることで見えることがあります。本当に必要なものを、必要なだけ、大切に使う。

私が去年買ったワンピースは、今年は東京で着ることになるのだと思います。

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